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クリエイティブ教育宣言 〜子どもたちが何かを創りたくなる気持ちを育むために〜

2017年7月14日、しくみデザインに新たな組織を立ち上げました。その名も「クリエイティブ教育ラボ(EduCreative Lab)」。クリエイティブ教育ラボのミッションは世界中の子どもたちがクリエイティブになれる方法と環境を研究し、そして実践することです。

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私たちしくみデザインは、設立からまもなく13年。設立からこれまで、デザインとテクノロジーを使って、みんなが思わず笑顔になる「しくみ」を作ってきました。その間に情報技術を中心に社会は大きく変化し、その変化の加速度は年々増す一方です。

そのような時代に対応できる人材を育成するために、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、そしてMathematics(数学)を総合的に組み合わせた「STEM教育」の必要性が世界的に論じられ、僕もその議論や実践に加わっています。日本でも2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されることになりました。

ただ私たちには、子どもたちが今後の社会を切り開いていくために求められているのは、STEMやプログラミングだけなのかという問題意識があります。STEMやプログラミングは確かに重要です。ただし、それらはあくまでもスキルにすぎないことも認識しておく必要があります。科学技術は日進月歩で発展していきますし、プログラミング言語にも流行りすたりがあります。そもそも今人間が書いているようなプログラムの多くを人工知能に任せることになる未来はそんなに遠くはないでしょう。時代によって問題解決のスキルが変わるのはこれまで私たちが経験してきたとおりです。直接的なスキルだけを身につけたとしても、それは普遍的なものにはなりません。

「切り開く力」の源泉は「問題を解決しよう」というモチベーションです。そしてそのモチベーションの基礎となるのが「何かを創りたくなる」気持ち、そしてそれが「創造性=クリエイティビティ」であるはずです。クリエイティブ教育ラボのテーマは、このクリエイティビティをどうやって大切に育てていくかを研究し、実践することにあります。

クリエイティブ教育には、つくりたい気持ちが芽吹き、育ち、継続するための「小さな成功体験」のスパイラルを生み出すことのできる環境も必要です。そこは単にツールがあるだけではない、子どもたちが集まりたくなる、そして自然と新しい考え方を身につけることができる「場」です。そのような、子どもたちが「何かを創りたくなる」気持ちを育む場を創り出すこともクリエイティブ教育ラボの大きな目標のひとつです。

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クリエイティブ教育とはアーティスト育成教育とイコールではありません。アーティスト以外にもクリエイティブな仕事をしている人はたくさんいます。日々繰り返す単調な作業を効率化する方法を考えることも十分にクリエイティブです。そしてそのクリエイティブが連なることで今の世界が形作られてきました。これからの世代には、デジタルテクノロジーとクリエイティブが切っても切り離せない関係となるのは間違いありません。そしてクリエイティブな活動を行うためには、テクノロジーを使いこなす論理的な能力が必要となります。論理的な創造性を身につけることこそが、未来を明るく楽しい社会へと導く方法なのです。

しくみデザインでは、さまざまなバックグラウンドと専門分野を持つスタッフが一丸となってクリエイティビティのあるプロダクトやソリューションを提供してきました。「Springin’」や「paintone」といった、クリエイティブ教育に関わるツールを開発し、ワークショップなどを何度も開催してきました。親として子育てに直面するスタッフも増えてきています。クリエイティブ教育ラボでは教育ツールの提供はもちろん、しくみデザインがこれまで培ってきた知見と経験を活かした研究、そしてその実践に取り組んでいきます。

クリエイティブ教育ラボ
研究所長 中村俊介
Shunsuke Nakamura
Director of EduCreative Lab